岩屋の梨は“美味しくなったね!”という言葉を励みに

・岩屋の梨は“美味しくなったね!”という言葉を励みに頑張っています。
・秘密は“減化学肥料”と“根に酸素”です。
 

<自慢と不満>

 「美味しい」という皆さんの言葉が、作物を生産する農家にとって何よりも励みになります。

 福井県若狭町岩屋は梨の産地です。岩屋の梨づくりは、今年で52年目を迎えます。愛すべき梨産地の高齢化を誰もが心配していました。

 また、近年の異常気象によって、病気や害虫の被害の拡大や、台風の常襲によって生産意欲は減退していました。そして、なにより自分の作った自慢の梨の味が低下していたのです。

 ずいぶんの間、「美味しい」という言葉を聞くために試行錯誤をしていました。




<きっかけは大雪>

 平成17年の11月。元肥(果樹で行われている来年の生育促進のための肥料)の施用作業が終了していないうちに大雪となりました。

 翌春、多くの梨農家が「元肥を施用することが出来なかったけど春の肥料をどうしよう? 」と考えていました。元肥は年間窒素施肥量の半分近くを占める量です。春から収穫までに全てを追加することは出来ませんでした。

 いつもの年より少ない施肥量で18年の収穫を迎えましたが、天候にも恵まれて影響はありませんでした。

 「あれ? 肥料はそんなに必要ないの?」「元肥の多くが冬の間に流亡しているの?」ということが話題になっている時に、鳥取県園芸試験場の環境負荷と低コストをモデル化した減肥50%の施肥設計に出会いました。





<動き出したら>

 また、現場では果実の外観がきれいに仕上がらない現象が問題となっていました。

 果実の外観の問題に対しても、肥料が遅くまで効き過ぎているとの助言を鳥取県の先進農家「田中良明さん」から頂いていました。直ぐに、土壌物理性改善と併せた減肥50%の施肥設計をH18年の9月から導入しました。

 近年、高齢化によって土壌改良が低調だったので、全梨農家で実践できるか大変心配しました。ところが、思いもかけない大きな土づくり運動の実践となりました。どの圃場も工事中のように排水対策のための土壌改良が実施されました。

 減肥栽培の取組みを大工事で実践できたことから、今度は農薬に対することが話題となりました。そして、平成19年度から30%の減化学農薬・50%の減化学肥料栽培を全梨農家で挑戦することになりました。





<ワイワイ賑やかに> 

 平成19年3月にエコファーマーの認定取得、特別栽培農産物の特例申請許可を受けて、同年4月から梨づくりを中心に農地・水・環境保全向上対策営農活動に取り組んでいます。福井県内の果樹栽培では初めての取組みです。

 もともと岩屋地区は結束力の強い集落です。また、現在6ヘクタールの梨栽培面積の全てを完全な共同防除体制で実施している背景もありました。

 加えて、定年によって帰農された団塊の世代の方を新たな組織幹部に迎えて、新たな視点とこれまでの母体がよりよく機能したことも大きな要因です。

 現在、先進的営農活動の対象となる梨栽培の実践。梨組合と農家組合が中心となった集落をあげての先進地視察による営農基礎活動の実践。農道へ花を植栽する等の取組みも加えた共同活動の実践をワイワイ賑やかに行っています。




<勇気農業>

 肥料を減らすことについては、大雪がきっかけでした。現在、農薬を減らす勇気を試されています。これまで以上によく梨の様子を見ています。病気を出したり、害虫にかじられたり、小さな失敗はしています。梨の栽培で農薬を減らすことは大変勇気が必要です。

 しかし、どの時期の防除が悪かったのか? 今度はこうしよう! あの資材を使ってみない? いろいろな意見が飛び交うようになりました。失敗は長い間みんなでチャレンジすることが出来なかったことかもしれません。

 平成19年の収穫を迎えて、「岩屋の梨は、なんでこんなに美味しいの」という言葉を聞きました。生産している梨農家も驚くほどの食味の向上です。

 土づくりによって根に酸素が供給されたこと。これまでは施肥の量(窒素成分)が多過ぎてエグミを感じていたのではないか。食味向上の実現によって梨農家の話も弾んでいます。

 「美味しい」という言葉のおかげで、直売所を改善しよう! 半無袋栽培を導入してみよう! いろいろなチャレンジの連鎖が始まっています。





<応援団>

 岩屋集落の梨は、市場出荷だけでなく、観光梨狩り園の運営や、宅急便を利用した進物中心の販路開拓を行ってきました。

 農地・水・環境保全対策での取組みを機会として、これまでは農業に関心のなかった人の参加もありました。農業に対する新たな応援団が出来るという嬉しい出来事です。

 今後は岩屋の梨を大事に思って頂いている皆さんとの交流のあり方を改めて模索しながら、地域の環境を活かして顔の見える販売の拡大を図って行きたいと考えています。


 みなさんの応援を支えに 頑張って参ります!


 
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